先週末、土日2夜連続で放送されたNHKスペシャルを見た。
タイトルに”認知症800万人”時代、とあったので、
高齢者福祉の専門職のはしくれとして見過ごせなかったのだが、見ていてつらかった。
1夜目は、「母と息子 3000日の介護記録」で、
元NHKディレクターのA氏が自分の母親を自宅で介護した記録だった。
A氏と司会者、認知症と高齢者介護に詳しい、精神科医、在宅医、訪問看護師、介護福祉士が
一緒に映像を見てコメントを出していく内容だった。
その中の、A氏が夜間の排便に失敗した母親に、強い乱暴な口調で叱責している場面を見て、
以前の自分の姿を思い出したのだ。
言っても効果がないことは分かっている、でも悪態をついてしまう。
言っても効果がないので、更にひどい悪態をついてしまう。
そして、「また悪態をついてしまった」と、自己嫌悪に陥る。
こんなことがいつまで続くんだろう、と不安になる。
そんな、かつての自分の姿である。
他人からはひどい言葉・態度に見えても、本人(母)は平気だったのかもしれない。
しかし、息子のA氏からひどい言葉をかけられたときの、
母の困惑した表情と、手で”ばってん”をつくって返した意味は何だったのか?
A氏が、自分の「認知症高齢者に対する誤った対応」をあえてさらしているのかとも思ったが、
同席者のコメントは「明るい介護(遠慮のない?)ですね」だった。
「あまりにも不適切な言動が多かったので、途中で見るのを止めた」という知人もいる。
せっかく、自宅で介護を続けるために役立つ情報も伝えようとしていたのに、残念だった。
2夜目は、「孤立する認知症高齢者」で、
行政や支援機関に助けを求めることができない実例を紹介していた。
私自身、地方包括支援センター、ケアマネジャー、医師、介護施設などの専門家・機関に
助けを求め、必要なサービスを利用するで、今の平穏な生活を取り戻せている。
ただ、これからは、軽度者を中心に公的な介護サービスがどんどん縮小されてくるので、
自分の身を自分で守る準備も必要になってくる。
自分の身を自分で守る具体的な方法については、次回以降で。