2013年11月26日火曜日

”認知症800万人”時代

先週末、土日2夜連続で放送されたNHKスペシャルを見た。

タイトルに”認知症800万人”時代、とあったので、
高齢者福祉の専門職のはしくれとして見過ごせなかったのだが、見ていてつらかった。

1夜目は、「母と息子 3000日の介護記録」で、
元NHKディレクターのA氏が自分の母親を自宅で介護した記録だった。

A氏と司会者、認知症と高齢者介護に詳しい、精神科医、在宅医、訪問看護師、介護福祉士が
一緒に映像を見てコメントを出していく内容だった。

その中の、A氏が夜間の排便に失敗した母親に、強い乱暴な口調で叱責している場面を見て、
以前の自分の姿を思い出したのだ。

言っても効果がないことは分かっている、でも悪態をついてしまう。
言っても効果がないので、更にひどい悪態をついてしまう。
そして、「また悪態をついてしまった」と、自己嫌悪に陥る。
こんなことがいつまで続くんだろう、と不安になる。

そんな、かつての自分の姿である。

他人からはひどい言葉・態度に見えても、本人(母)は平気だったのかもしれない。
しかし、息子のA氏からひどい言葉をかけられたときの、
母の困惑した表情と、手で”ばってん”をつくって返した意味は何だったのか?

A氏が、自分の「認知症高齢者に対する誤った対応」をあえてさらしているのかとも思ったが、
同席者のコメントは「明るい介護(遠慮のない?)ですね」だった。

「あまりにも不適切な言動が多かったので、途中で見るのを止めた」という知人もいる。

せっかく、自宅で介護を続けるために役立つ情報も伝えようとしていたのに、残念だった。


2夜目は、「孤立する認知症高齢者」で、
行政や支援機関に助けを求めることができない実例を紹介していた。

私自身、地方包括支援センター、ケアマネジャー、医師、介護施設などの専門家・機関に
助けを求め、必要なサービスを利用するで、今の平穏な生活を取り戻せている。

ただ、これからは、軽度者を中心に公的な介護サービスがどんどん縮小されてくるので、
自分の身を自分で守る準備も必要になってくる。

自分の身を自分で守る具体的な方法については、次回以降で。

2013年11月18日月曜日

親の介護

今日は、いつものように近所に住む父にコメダで珈琲をごちそうになりました。

父は今、母との二人暮らし(+犬1匹)、介護保険の「要介護2」で、週4日デイサービスに出かけ、週1回訪問リハビリを受けています。

デイサービスのない日は、ほとんど1日ベッドで過ごしてしまうので、リハビリを兼ねて外出に誘いますが、最近のお気に入りがコメダで(冬でも)アイスコーヒーです。

出かけるときは、どんなに時間がかかっても自分で靴を履いてもらい、お店のドアも自分で開けてもらいます。私は見守るだけ。

お勘定も払ってくれるのですが、小銭の計算は面倒らしく、いつも出すのは千円札。最近は常連さんになってコーヒーチケットをきるだけです。

長時間イスに座っていられないので、滞在時間は毎回30分程度。

デイサービスでの出来事や子供の頃の話、若い頃の苦労話などを聞かせてもらっています。

親の介護といっても、今私がやっているのは、毎週1~2回一緒にコーヒーや食事に行くこと、月に1回病院への送り迎え(ついでに昔のなじみの場所へドライブ)をすることぐらい。

毎日父の世話をしてくれている母親の負担が軽くなるようにサポートしているだけです。


今は父も家族も平穏に暮らしていますが、約5年前の最悪の状態から今までの経緯を簡単に振り返ってみます。

父はもともと大酒のみでしたが、63歳頃、意に反して仕事を辞めた頃から酒量が増えました。そして、たしか68歳頃、自動車で立て続けに物損事故を起こすようになり、その際の受け答えに認知症を疑わせるものがあったので、人身事故を起こす前に(強引に)運転をやめてもらいました。

楽しみを奪われたからでしょう、それから更に酒量が増え、1日中酒を飲み続ける生活になり、本人の健康状態・精神状態も家族との関係も悪化していく、悪夢のような数年間でした。

家族だけではアルコール依存の解決ができず、平成21年5月に地域包括センターに相談して「要支援1」の認定を受け、介護予防サービスを利用したが状況は変わりませんでした。

平成21年10月に、アルコール依存からの離脱を目的とした入院治療を行い、退院時には「要介護5」の認定を受け、介護サービスを利用しながら自宅療養を始めました。

多くの方の支援を受けて本人の状況も大きく好転し、平成22年5月には「要介護3」、平成23年5月には「要介護2」となり、今にいたっています。

その間、本人と家族の生活を守るため、「アルコール依存症」「認知症」「介護保険の仕組み」「医療機関との付き合い方」「家族の役割」などを勉強して、各分野の専門家のお知恵も借りて、最善だと思う手を打ってきましたが、幸いにも良い結果が得られて満足しています。

約5年前、先の見えない親の介護の問題で、私は目の前が真っ暗になっていました。

しかし今は、介護で関わるまで、まともに口もきいたことがなかった父と、毎週笑ってお茶飲み話をしています。いい経験をさせてもらっています。












2013年11月8日金曜日

暮らしの安心、私の場合

私が今、自分の「暮らしの安心」を手に入れるために心がけていることは、

(1)リスク感覚をみがくこと、
(2)専門家と対等に話ができる基礎知識を身につけること、
(3)不安や心配の種をそのままにしないこと、
(4)変化に対応できる柔軟な家計をつくること、
(5)「老楽暮らし」の仕組みをつくること、です。

そのために、人の話しをよく聞き、自分でもよく調べて、人まかせにせず、自分で考えるようにしています。

もう少し詳しくお話します。

(1)で言う「リスク感覚」とは、自分をよく理解して、自分にとってのリスクとは何かを知り、世間の常識や広告・マスコミの情報に惑わされて誤った判断をしない能力です。「リスクリテラシー」「リスクセンス」という言い方もされています。リスク管理の本を見ると、「どれだけ安全なら安心なのか」という言葉がよくでてきます。他人から見ると「安全」なのに、自分では「安心」を感じられず、余計な保険を買ったり、健康食品にはまったり、うまい話にだまされる方が多くいらっしゃいます。

(2)は、私が実際にやってきたことです。生活設計の相談をうけるためにFP、住宅に関する相談で金融機関や不動産業者と交渉するために宅建、自分の住むマンションの問題解決のためにマンション管理士、親の介護を機会に高齢者福祉(介護)の専門知識を得るために社会福祉士の勉強をしました。おかげで、各分野の方との話がスムーズになり、ご協力をいただけるようになりました。

(3)については、100%の安心を手に入れることは不可能なので、ムダあるいは根拠のない不安や心配をなくすことから始めています。不安や心配は、無知や無理解からきていることが多く、自分で調べ考えることで解消することが多いと思います。たとえば、老後の年金や医療費負担への不安です。少なくとも、ムダな保険を買ったり、筋の悪い金融商品を買うことは避けられます。

(4)は、今後予想されるインフレへの対応です。最近、一部の生活必需品が値上がりし、来春には消費税の増税もあります。家計収入が上向かなければ、生活は苦しくなるかもしれません。また、国の1000兆円の借金という時限爆弾もいつ破裂するか、誰にもわかりません。そうした変化が起きたときに、自分の暮らし(家計)への影響を最少にするための備えは必要だと思います。

(5)の「老楽暮らし」とは、「老いて楽しい暮らし」のことで、自分が高齢者になっても安心して楽しく暮らせる仕組みを模索しています。そのため今は、何かあったときに声のかけやすいご近所づきあいと一人暮らしの高齢者の見守りで、「共助」の仕組みつくりを始めています。老後の備えを「自助」と「公助」だけでまかなうのは難しいと感じたからです。


今後は、(1)~(5)について、具体的な話をしていきます。